ドイツを巡る世界遺産の旅、41日目は、歴史と芸術が息づくライプツィヒから日帰りで、ヴェルリッツとデッサウへ向かいました。広大な風景式庭園「デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国」と、近代建築の金字塔「ヴァイマルとデッサウのバウハウスとその関連遺産群」、二つの異なる顔を持つ世界遺産を巡る、刺激的な一日をご紹介します。
一人旅での世界遺産を巡るヨーロッパ5ケ国周遊旅行(全60日間)のまとめの記事です。
旅の始まり:ライプツィヒからデッサウ、そしてヴェルリッツへ
ライプツィヒ中央駅 (Leipzig Hbf)
ライプツィヒ中央駅はヨーロッパ有数のターミナル駅。
朝、ライプツィヒ中央駅(Leipzig Hbf)から、デッサウ行きのRE(快速列車)に乗り込みました。始発だったため車内は空いており、快適な列車の旅が始まりました。
デッサウ中央駅で乗り換え
デッサウ中央駅に到着後、ここからさらに地域鉄道である**デッサウ・ヴェルリッツ鉄道**に乗り換えて、いざ目的地のヴェルリッツへと向かいます。地方の小さな鉄道に揺られながら、車窓から流れるドイツの田園風景を眺めるのも、旅の醍醐味です。
啓蒙主義の楽園「デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国」を歩く
ヴェルリッツの町並み (Wörlitz)
ヴェルリッツ駅からの道のりで見かける、可愛らしい町並み。
ヴェルリッツ駅から徒歩約20分。緑豊かな道を歩くと、広大な**世界遺産「デッサウ・ヴェルリッツの庭園王国」**が姿を現しました。この庭園は、単なる美しい景観に留まらず、18世紀の**啓蒙主義の理念**が込められた「生きた教本」として設計された、非常にユニークな場所です。
聖ペトリ教会 (St. Petri Church)
庭園の静けさに溶け込むように佇む聖ペトリ教会。
庭園に入るとまず目を引くのは、その広大さと、水路や湖が織りなす壮大な景観です。園内を散策する中で、**聖ペトリ教会(St. Petri Church)**のような歴史的建造物にも出会えます。
ヴェルリッツ城 (Schloss Wörlitz)
クラシックな美しさを放つヴェルリッツ城。
クラシックな美しさを放つ**ヴェルリッツ城(Schloss Wörlitz)**は、かつての侯爵の居城であり、庭園全体の中心的な存在感を放ちます。
ヴェルリッツ湖と渡し船
ヴェルリッツ湖を渡るロープ式の渡し船。水上からの眺めも格別。
広大な**ヴェルリッツ湖**が広がり、その水面を横断するためには**ロープでつながれた渡し船**に乗ります。のんびりとした船旅は、水上から庭園の多様な表情を楽しむ絶好の機会です。
ゴシック・ハウス (Gothic House)
中世のロマンを感じさせるゴシック・ハウス。
庭園を散策すると、様々な時代の建築様式を模した建物が次々と現れます。特に、中世のロマン主義とゴシック趣味を反映した**ゴシック・ハウス(Gothic House)**は、まるで絵画から抜け出たようです。
ヴィーナスの神殿 (Venustempel)
古典的な美しさを湛えるヴィーナスの神殿。
古典的な美しさを湛える**ヴィーナスの神殿(Venustempel)**は、ギリシャ・ローマ神話の世界を思わせます。
神殿に立つ**ヴィーナス像**も必見です。
モニュメント
運河
パンテオン (Pantheon)
古代ローマを思わせるパンテオン。内部には美しい彫刻が。
古代ローマのパンテオンを模した**パンテオン(Pantheon)**は、彫刻が飾られており、中には入れませんがその存在感は圧倒的です。
アマリア島
シナゴーグ(ユダヤ教会 / Synagoge)
宗教的寛容の精神を象徴するシナゴーグ。
庭園内に**シナゴーグ(Synagoge)**が建てられているのは、当時の**宗教的寛容**という啓蒙主義の理念を強く象徴しており、非常に印象的でした。
その他にも**アマリア島**や**岩の島**といったユニークな場所が点在し、歩くたびに新たな発見がある、まさに「発見の旅」を体験できる庭園です。広大な**運河**沿いを歩き、橋を渡り、**モニュメント**のそばを通り過ぎるたびに、侯爵の哲学的な意図を感じ取ることができました。
岩の島
近代建築の原点「デッサウのバウハウス」へ
ヴェルリッツ駅からデッサウ・ヴェルリッツ鉄道で再びデッサウ駅へと戻ります。そして、午後の目的地は、近代建築とデザインに革命をもたらした**世界遺産「ヴァイマルとデッサウのバウハウスとその関連遺産群」**です。
世界遺産「ヴァイマルとデッサウのバウハウスとその関連遺産群」登録範囲
- <ヴァイマル>
- バウハウス大学本部棟
- バウハウス大学のヴァン・デ・ヴェルデが手がけた建物
- ハウス・アム・ホルン
- <デッサウ>
- デッサウ・バウハウス(校舎)
- 親方の家
デッサウ・バウハウス校舎 (Bauhaus)
ガラスと鉄骨が美しい、近代建築の金字塔、デッサウ・バウハウス校舎。
デッサウ中央駅から徒歩わずか5分。目の前に現れた**デッサウ・バウハウス(Bauhaus)**の建物は、その機能美と革新的なデザインに息をのみます。ガラスと鉄骨が織りなす透明感、そして無駄を排したシンプルな構造は、100年以上前の建物とは思えないほどモダンで、現代建築にも多大な影響を与え続けていることが肌で感じられました。
内部の見学も可能で、教室や工房、オフィスなどが、機能的に配置されている様子を見ることができます。
親方の家(マイスターハウス / Bauhaus Master's Houses)
マイスターたちの創造的な生活空間、親方の家。
バウハウス校舎から徒歩10分ほど離れた場所に、**「親方の家(マイスターハウス)」**が点在しています。ここは、グロピウス、カンディンスキー、クレーといったバウハウスの著名な教授(マイスター)たちが暮らした住宅群です。
各家はそれぞれ異なるデザインが施されながらも、バウハウスの理念である「シンプルさ」「機能性」「量産性」を追求した実験的な住宅として建てられました。自然の中に溶け込むような配置で、彼らがどのような環境で生活し、創造的な活動を行ったのかを想像することができました。
ドイツのデッサウとヴェルリッツは、異なる時代と思想が融合した二つの**世界遺産**を一度に体験できる、非常に魅力的な場所でした。歴史、芸術、そして建築に興味がある方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。