【知られざる歴史と絶景】ルーマニア世界遺産巡り:中世の面影と自然が息づく2週間

2025年7月24日木曜日

ルーマニア

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ルーマニアの世界遺産「ホレズ修道院」

「ヨーロッパの世界遺産巡り」と聞いて、あなたはまずどこの国を思い浮かべますか?フランスの古城、イタリアのコロッセオ、スペインのアルハンブラ宮殿…きっと西欧の華やかなイメージが強いかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。ヨーロッパには、まだ多くの旅人がその魅力に気づいていない「知られざる宝庫」があります。それが、今回ご紹介するルーマニアです。

私がこの度、約2週間にわたるルーマニア世界遺産巡りの旅をしてきました。ドラキュラ伝説のベールに包まれたトランシルヴァニア地方の古城や中世都市、カラフルなフレスコ画で彩られた修道院群、そして手つかずの広大な自然…。まさに、歴史と絶景が息づくアドベンチャーの連続でした。

「ルーマニアってどうやって行くの?」「英語は通じる?」「治安は大丈夫?」そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。この記事では、そんな不安を解消しつつ、私が実際に体験したルーマニア世界遺産巡りの全貌を、感動的な写真と共に余すところなくお伝えします。

あなたの次の旅先は、きっとルーマニアになるはずです!


旅の始まり:空路でルーマニアへ!最初の拠点「クルジュ=ナポカ」

私のルーマニア旅は、イスタンブールからの空路でクルジュ=ナポカに降り立つことから始まりました。ルーマニア第二の都市であるクルジュ=ナポカは、トランシルヴァニア地方の中心都市の一つ。学生が多く活気に満ちた美しい街で、世界遺産こそありませんが、ゴシック様式の教会や広場が点在し、歴史と現代が融合した雰囲気を味わえます。到着後、市内中心部のホテルにチェックインし、翌日に備えてこの街の雰囲気を楽しみました。

クルジュ=ナポカ

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北へ:マラムレシュ地方の素朴な世界遺産へ

クルジュ=ナポカで一泊した後、北部のマラムレシュ地方へと向かいます。公共バスを乗り継いでバヤ・マレに移動し、そこを拠点に世界遺産巡りをする計画です。ルーマニアの長距離バスは、主要都市間を結び、比較的リーズナブルで便利な移動手段です。

1. マラムレシュの木造聖堂群:伝統が息づく素朴な美しさ

バヤ・マレを拠点に日帰りツアーを利用し、世界遺産「マラムレシュの木造聖堂群」を訪れました。ここは、その名の通り木材のみで造られた、高くそびえる尖塔が特徴的な独特の教会群です。訪れたのは、特に有名なバルサナ修道院。

厳しい冬の環境に適応するために木造建築が発達したこの地方では、質素ながらも非常に高い技術で造られた聖堂が今も信仰を集めています。教会内部の素朴なフレスコ画や、現地の人々の敬虔な姿に触れ、ルーマニアの深い精神性と伝統を感じることができました。まるで時が止まったかのような、温かい雰囲気に包まれる場所でした。

マラムレシュの木造聖堂群

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東へ:鮮やかな壁画に彩られたモルダヴィアの教会群

バヤ・マレの滞在を経て、東部へ大きく移動。ルーマニア北東部に位置するモルダヴィア地方は、キリスト教正教会の修道院が多く点在する信仰の地です。この地域への移動は、鉄道と長距離バスを組み合わせてスチャヴァへ。特に夜行寝台列車は、長距離移動の効率を上げつつ、旅情も楽しめるおすすめの手段です。

2. モルダヴィアの教会群:壁画が語る聖書物語の芸術

最も楽しみにしていた世界遺産の一つ、「モルダヴィアの教会群」を訪れました。ここは、教会の外壁までもが鮮やかなフレスコ画で覆われているという、世界でも珍しい建築群です。特に有名なのは、ヴォロネツ修道院(「東洋のシスティナ礼拝堂」の異名を持つ)スチェヴィツァ修道院などです。

まるで物語の絵巻のように描かれた聖書のシーンや聖人たちの姿は、何世紀もの時を超えても色褪せることなく、その美しさに息を飲みました。当時の illiterate(読み書きのできない)人々に教義を伝えるための役割も果たしていたという背景を知ると、その芸術性と実用性の両面に深く感動します。それぞれの修道院が持つ異なるテーマや色合いを比較しながら巡るのは、至福の時間でした。

モルダヴィアの教会群(ヴォロネツ修道院のフレスコ画)

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南東へ:広大な自然遺産「ドナウ・デルタ」の神秘

モルダヴィア地方からさらに南東へ。トゥルチャへの移動は、ローカル列車やバスを乗り継ぎました。ドナウ川の終着点であるこの地には、広大な自然が広がっています。

3. ドナウ・デルタ:手つかずの自然が織りなす生命の宝庫

ヨーロッパ最大の湿地帯として知られる世界遺産「ドナウ・デルタ」。ここは、多様な鳥類や魚類が生息する手つかずの自然が広がる、まさに生命の宝庫です。トゥルチャの町を拠点に、地元で催行されているボートツアーに参加し、広大な湿地を巡りました。

葦の生い茂る水路を進むと、ペリカンやサギ、カモなど、様々な野鳥が次々と姿を現し、その豊かな生態系に圧倒されました。都会の喧騒から離れ、純粋な自然の息吹を感じられる、癒しの時間でした。日の出や日没時には、水面に映る空の色が息をのむほど美しく、時間を忘れて見入ってしまいました。

ドナウデルタの広大な湿地と鳥たち

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西へ:古代の足跡と中世都市の宝庫トランシルヴァニアへ逆戻り

ドナウ・デルタの旅を終え、ルーマニア中西部のトランシルヴァニア地方へ戻ります。長距離の夜行寝台列車を使い、オラシュティエへ向かいました。この地域には、歴史の教科書に出てくるような古代の遺跡と、絵画のように美しい中世都市が待っています。

4. オラシュティエ山脈のダキア人の要塞群:ローマ以前の知られざる歴史

オラシュティエを拠点に、世界遺産「オラシュティエ山脈のダキア人の要塞群」へ。ここは、古代ローマがこの地域を征服する以前の、ダキア人によって築かれた要塞群の遺跡です。

山中に点在するこれらの要塞は、当時の高度な建築技術と防御思想を物語っています。特に、ウルピア・トライアナ・サルミゼゲトゥーザの遺跡は圧巻で、石積みの城壁や神殿跡を歩くと、まるで2000年以上前のダキア人の息遣いが聞こえてくるようでした。アクセスは比較的困難な場所もありますが(現地ツアーまたはタクシーが効率的)、その分、秘められた歴史を感じられる貴重な場所です。

オラシュティエ山脈のダキア人要塞群

関連記事:世界遺産「オラシュチエ山脈のダキア人の要塞群」

5. シギショアラ歴史地区:時間が止まったような中世の宝石

オラシュティエから鉄道で移動し、再びトランシルヴァニア地方のシンボルともいえる世界遺産「シギショアラ歴史地区」を訪れました。ここは、まさに絵本の中から飛び出してきたような中世の城塞都市。ヴラド3世(ドラキュラのモデル)の生誕地としても知られ、石畳の小道、カラフルな建物、そして中央にそびえる時計台は、何度来てもタイムスリップしたかのような感覚にさせてくれます。

城壁に囲まれた旧市街は、コンパクトながら見どころ満載。時計台からは美しい街並みが一望でき、迷路のような小道を歩き、趣のあるカフェで一息つく時間は、旅の疲れを忘れさせてくれる至福のひとときでした。

シギショアラ歴史地区の美しい街並み

関連記事:世界遺産「シギショアラ歴史地区」

6. トランシルヴァニア地方の要塞聖堂のある村落群:ユニークな防御教会群

シギショアラを拠点に、日帰りバスツアーなどを利用して世界遺産「トランシルヴァニア地方の要塞聖堂のある村落群」を巡りました。これは、かつてオスマン帝国の侵攻から村を守るために、教会を城塞化したユニークな建造物群です。

私たちが訪れたいくつかの要塞聖堂は、それぞれ異なる表情を見せてくれ、その歴史の重みに圧倒されました。高い城壁と堅牢な教会が一体となった姿は、まさに中世の人々の知恵と信仰の結晶。内部のフレスコ画や素朴な調度品も、当時の生活を垣間見せてくれる貴重なものでした。

トランシルヴァニアの要塞聖堂 ビエルタン

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南へ:ホレズ修道院とブカレストへ

シギショアラから南下し、次なる世界遺産、そして旅の終着点であるブカレストへと向かいます。シビウに移動し、そこを拠点に日帰り観光へ。

7. ホレズ修道院:純粋なブルンコヴェアヌ様式の傑作

シビウから南へ。カルパティア山脈の麓にひっそりと佇む世界遺産「ホレズ修道院」を訪れました。ここは、17世紀末に建てられた純粋なブルンコヴェアヌ様式の傑作として知られています。

精巧な彫刻が施された石造りの建築、美しいフレスコ画、そして静かで厳かな雰囲気は、訪れる者の心を穏やかにしてくれます。修道院内を静かに歩き、その歴史と信仰の深さに触れることで、日々の喧騒を忘れさせてくれるような体験ができました。シビウからはバスを乗り継ぎましたが、少し手間をかけても訪れる価値のある場所です。

ホレズ修道院の内部とフレスコ画

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ルーマニア旅の終着点「ブカレスト」

ホレズ修道院の旅を終え、ルーマニア旅の最終地点である首都ブカレストへ戻ります。約2週間の濃密な旅を振り返りながら、ブカレスト市内をゆっくりと観光。圧巻の国民の館や、歴史を感じる凱旋門など、トランシルヴァニアとはまた違った大都市の顔を見せてくれます。最終日には、この旅で訪れた様々な世界遺産の思い出を胸に、次の国へと移動しました。

ブカレストの国民の館

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旅を終えて:ルーマニアがくれた感動と発見

約2週間のルーマニア世界遺産巡りの旅を終えて、心に残ったのは、この国の豊かな歴史、多様な文化、そして何よりも人々の温かさでした。

ルーマニアは、「知られざる宝庫」という言葉がぴったりの国です。 西欧のような派手さはないかもしれませんが、中世の面影が色濃く残る街並み、鮮やかなフレスコ画に彩られた修道院、そして手つかずの壮大な自然は、訪れる者の心を深く揺さぶります。

交通手段は少し不便を感じることもありましたが、それもまた旅の醍醐味。標準的な公共交通機関(鉄道、バス、必要に応じてタクシーや日帰りツアー)を賢く利用すれば、個人旅行でも十分に楽しめることが分かりました。物価は西欧に比べて手頃で、美味しいルーマニア料理も満喫できました。治安も主要な観光地であれば特に問題なく、安心して旅ができました。

もし、あなたが次なる旅先を探しているなら、ぜひルーマニアを検討してみてください。きっと、あなたの旅の概念を大きく変えるような、忘れられない冒険が待っているはずです。

次回の記事では、この旅の続き、ブルガリアの世界遺産巡りについて詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに!


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