オランダのアムステルダム国立美術館を、個人旅行・一人旅の視点で徹底解説します。アムステルダム国立美術館の見所を知りたい人に、おすすめの記事です。
はじめに:アムステルダム国立美術館とは
アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)は、オランダの首都アムステルダムに位置する世界的に有名な美術館です。19世紀に建設され、1885年に一般公開されました。美術館の建物自体も美しい建築物であり、内部には豊富な美術品や歴史的なコレクションが収蔵されています。
アムステルダム国立美術館は、オランダ黄金時代の巨匠たちの作品を中心に展示しており、特にレンブラント、フェルメールなどの作品が有名です。また、オランダの歴史や文化を伝える多くの美術品や工芸品も展示されており、訪れる人々にオランダの芸術と歴史に触れる機会を提供しています。
美術館内は広大で、数多くの展示室があります。美術品だけでなく、建物自体も見どころであり、歴史的な雰囲気が漂います。アムステルダム国立美術館は、アムステルダムを訪れる観光客にとって必見の観光スポットの一つであり、芸術愛好家や歴史に興味を持つ人々にとって魅力的な場所です。
写真撮影について
アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)では、ほとんどすべての展示作品を写真撮影可能です。世界三大絵画のレンブラント作「夜警」も撮影可能です。その点で考えても、世界最高の美術館と言えます。
ただし、人の映り込みについてはかなり厳しいと感じました。
レンブラントの名画コレクション
アムステルダム国立美術館で、最優先で見ておきたい画家はレンブラントです。
レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt Harmenszoon van Rijn)は、17世紀オランダの画家であり、バロック時代の巨匠として世界的に有名な芸術家です。1606年にオランダのレイデンで生まれ、1669年にアムステルダムで亡くなりました。
レンブラントは非常に多作で、絵画、版画、ドローイングなどの幅広いジャンルで活躍しました。特に肖像画や宗教画がよく知られており、彼の作品は独自のスタイルと深い感情表現で特徴付けられています。
彼の肖像画は人物の内面を浮き彫りにし、独自の光と影の使い方によってリアリズムとドラマティックな効果を生み出しています。また、宗教画では聖書の物語を描く一方で、人間の苦悩や喜び、信仰心などをリアルに描写しました。
彼の作品は後世の画家や芸術家に多大な影響を与え、バロック時代の最も偉大な芸術家の一人として称賛されています。
代表作の「夜景」を始め、多くの作品をまとめて見れました。美術史における最重要人物の作品をこんなにまとめて見るのは初めてです。レンブラントの作品群を見るためだけでもアムステルダムを訪れる価値があります。
「夜警」レンブラント作
このページの一番上の写真が、レンブラント作「夜警」です。世界三大絵画の一つです。
「夜警」は、レンブラント・ファン・レインによって制作された有名な絵画であり、オランダ黄金時代の代表作の一つとして知られています。
「夜警」は、1642年に描かれたバーガーワーフ(市民軍の軍営)の組織である「クローヴェンリエ」(Schutterij)の隊員たちを描いた群像画です。当初、この絵画は「クローヴェンリエの隊員たちの夜の巡回」を表現する作品として制作されたため、「夜警」というタイトルはレンブラント自身がつけたものではありません。
絵画の中央には、隊長であるフランス・バン・デン・ブルク(Frans Banning Cocq)が立ち、その周りに隊員たちが勇壮に並んでいます。絵画は非常に活気に溢れており、隊員たちのリアルな表情や動きが描写されています。また、暗闇の中から浮かび上がる光と影の使い方も特筆すべき特徴です。
「夜警」は当初は高く評価されず、クローヴェンリエの隊員たちが期待していたポートレートとは異なる姿で描かれていたため、後援者たちに不評を買いました。しかし、現代ではレンブラントの芸術の傑作として高く評価され、アムステルダムのリイクスム・ミュージアムで展示されています。
「世界三大絵画」
レンブラント作「夜警」は、「世界三大絵画」の一つとしても広く知られています。
「世界三大絵画」として認知される作品は以下の通りです:
- モナ・リザ(La Gioconda):レオナルド・ダ・ヴィンチによる絵画で、ルーヴル美術館に所蔵されています。
- ラス・メニーナス(Las Meninas):ディエゴ・ベラスケスによる絵画で、プラド美術館に所蔵されています。スペインのバロック美術の代表作とされています。
- 夜警(The Night Watch):レンブラント・ファン・レインによる絵画で、オランダのアムステルダム国立美術館(リイクスムセウム)に所蔵されています。オランダのバロック絵画の傑作として知られています。
- オルガス伯の埋葬(The Burial of the Count of Orgaz):エル・グレコによる絵画で、スペインのトレドにあるサント・トメ教会に所蔵されています。宗教的なテーマを描いた作品であり、エル・グレコの個性的なスタイルと表現力が際立っています。
これらの作品は美術史上において特に重要な位置を占めており、世界中の美術愛好家によって称賛されています。選者により、1,2,3と1,2,4とする例が多いです。
全部見ましたが、どれも素晴らしい作品です。2と4は撮影禁止です。
アムステルダム織物業者組合の幹部たち レンブラント作
この絵画は、アムステルダムの織物業者組合の幹部たちを描いたグループ肖像画で、組合の重要な役職を担う6人の男性が描かれています。彼らは織物産業の統制と品質管理を担当していました。
レンブラントは非常に細かい技術で人物たちの表情や衣服のディテールを描写し、リアルな肖像画を完成させました。また、彼らが机の前に座って集会を行っている様子も描かれており、当時のアムステルダムの商業の繁栄と組合の重要性が伺えます。
ユダヤの花嫁 レンブラント作
英語では"The Jewish Bride"として広く知られています。
この絵画は、2人の人物が愛情深く抱き合っている情景を描いた作品です。男性は黒い服を着ていて、女性は赤い衣装を身にまとっています。彼らは静かな喜びや愛情を感じさせるような表情をしており、その情熱的な姿は鑑賞者に深い感動を与えます。
絵画の題名からわかるように、この作品はユダヤ人の結婚式を描いています。しかし、具体的な人物や出来事に特定の関連性はなく、レンブラントが表現したのは普遍的な愛と結びついた美しい情景です。
「使徒パウロに扮した自画像」レンブラント作
「使徒パウロに扮した自画像」は、レンブラント・ファン・レインによる自画像の1つです。レンブラントは自らの姿を様々なキャラクターに変身させることで有名であり、この作品ではキリスト教の使徒パウロに扮して自画像を描いています。
この絵画はレンブラントが晩年に描いたものであり、年老いた面立ちや深い思索に満ちた表情が特徴的です。レンブラントは自画像を通して自己表現を試み、内面の葛藤や哲学的な問いに向き合っているような様子が伝わってきます。
「修道士に扮するティトゥス」レンブラント作
この絵画は、レンブラントの息子であるティトゥス・ヴァン・レインをモデルにして描かれたもので、ティトゥスが修道士の姿になっている様子を表現しています。
ティトゥスは、レンブラントが非常に愛した息子であり、父親の作品の中で何度もモデルを務めました。この絵画では、ティトゥスが修道士の服装を身にまとい、手には聖書を持っています。静かな表情や瞑想的な姿勢から、精神的な深さや内省的な性格がうかがえます。
「修道士に扮するティトゥス」は、ティトゥスの内面的な世界や父親であるレンブラントとの深い絆を反映している作品とされています。レンブラントは、この絵画において息子の魂の光を捉えようとし、感情豊かな筆致と繊細な光の表現を用いてその内面を描き出しました。
「聖ペテロの否認」レンブラント作
「聖ペテロの否認」は、レンブラント・ファン・レインによって描かれた有名な絵画の一つです。この作品は、聖書のエピソードである「イエスの処刑前夜、弟子ペテロが三度イエスを否定した」場面を描いています。
絵画では、ペテロがイエスの裁判が行われている庭で羊飼いの帽子をかぶり、一人で座っています。その隣には火を囲んでいる人々が描かれており、その中で一人がペテロを指さしているように見えます。この指さす人物は、ペテロの否認を見抜いていることを示唆しています。
レンブラントは、この絵画において、ペテロの内面の葛藤と後悔を描写しています。ペテロは自分の信念を守ることができず、イエスを裏切ったことに対する内面的な葛藤と後悔がうかがえます。その表情や姿勢から、彼の心の葛藤が感じ取れるようになっています。
少女と孔雀 レンブラント作
マリーア・トゥリップ レンブラント作
ヨハネス・ウエンボールトの肖像 レンブラント作
エルサレムの滅亡を嘆くエレミア レンブラント作
トビトとアンナ レンブラント作
自画像 レンブラント作
石橋のある風景 レンブラント作
女預言者アンナ レンブラント作
オリエンタル風に装った男 レンブラント作
肖像 レンブラント作
若い女 レンブラント作
音楽を奏でる人々 レンブラント作
レンブラント・コレクションのまとめ
アムステルダム国立美術館のレンブラント・コレクションは、その量・質ともに世界最高峰です。ここに来ずしてレンブラントを語るなかれ。絶対に見に来ましょう。
フェルメールの名画コレクション
レンブラントと同様にアムステルダム国立美術館で、最優先で見ておきたい画家はフェルメールです。
17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)は、オランダ黄金時代の巨匠の一人であり、その絵画は美しさと緻密な技巧で知られています。
フェルメールの作品は室内の日常的なシーンや肖像画が主題であり、特に光と影の表現に優れた技術を持っていました。彼の絵画は独特の静謐さと精緻さがあり、細部まで忠実に描かれたリアルな表現が特徴です。
彼の代表作には「真珠の耳飾りの少女」や「ミルクメイド」などがあり、これらの作品は彼の芸術的な才能と独自のスタイルを示すものとして高く評価されています。
フェルメールの絵画は長い間忘れられていた時期もありましたが、19世紀に再評価され、現在では世界中の美術館に所蔵され、多くの人々に愛されています。彼の作品は美的価値だけでなく、当時のオランダ社会や生活を知る貴重な歴史的資料としても重要視されています。
レンブラントと並ぶ17世紀オランダを代表する画家フェルメール。寡作で知られるフェルメールの作品をまとめて数点見れるとは、アムステルダムまで来た甲斐があります。
「牛乳を注ぐ女」フェルメール作
「牛乳を注ぐ女」は、家事に従事する平凡な女性が描かれており、フェルメールの特徴である日常生活の中の瞬間を捉えた作品として知られています。絵画の中心には女性が立ち、牛乳を注ぐ姿が描かれています。彼女は青いヘッドカバーと黄色いスカートを着用しており、優雅で穏やかな表情をしています。背景には窓が描かれており、光が差し込んでいることが分かります。
フェルメールは光の効果を巧みに利用し、繊細な筆遣いで女性の服装や室内のディテールを描写しています。彼の作品は非常に写実的でありながらも、その繊細な表現力や絶妙な色彩使いが称賛されています。
「手紙を読む女(青衣の女)」フェルメール作
絵画の中央には、青い服を身に着けた女性が描かれています。彼女は画面中央に立ち、手紙を読みながら、目を細めて文字に集中しています。手紙を読む彼女の表情や仕草は、内面的な感情を描写しているように見えます。
フェルメールは光の効果を巧みに利用し、女性の服装や室内のディテールを細かく描写しています。彼の作品は写実的でありながらも、その繊細な表現力や絶妙な色彩使いが称賛されています。
「小路(The Little Street)」 フェルメール作
「小路(The Little Street)」は、1657年から1658年頃にヨハネス・フェルメールによって描かれた絵画です。この作品は、静かな小路と民家が描かれた、繊細なディテールとリアリティに富んだ風景画です。煉瓦造りの建物や道路の舗装、小さな窓やドアなどが丁寧に描写されており、フェルメールの優れた技術と写実的なスタイルが光っています。
恋文 フェルメール作
「恋文」では、女主人と女中の2人の女性の姿が描かれており、女主人が手紙を受け取る様子が当惑顔で表現されています。手に持っている楽器(シターン)や背後の海景など、さまざまなモチーフが恋愛と関係の深いものとして描かれており、作品全体から女性の心情や物語が想像されるようになっています。
また、作品が盗難に遭った経緯も興味深いです。作品は木枠からカンバスを切り出され、周辺部の絵具が剥がれるなど、深刻なダメージを受けましたが、幸いにも回収されました。窃盗犯の行動が物議を醸し、難民救済と文化財の重要性について議論が巻き起こったこともわかります。
「恋文」はフェルメールの作品の中でも美しい光と影の表現が特徴的で、繊細なタッチで描かれた作品として高く評価されています。
フェルメール・コレクションのまとめ
日本では信じられないくらい、ゆったりフェルメールの名画を鑑賞できました。
フェルメールの名画は美しい光と影の表現、繊細なタッチ、そして描かれた主題のリアリティで多くの人々を魅了しています。日本でも美術館や展覧会を通じてフェルメールの作品を鑑賞することができますが、アムステルダム国立美術館では特にゆったりとした環境で作品を堪能できる場所であるということは素晴らしいことです。
まとめ
いかがでしたか。アムステルダム国立美術館を、レンブラントとフェルメールの名画を中心に解説しました。この二人のオールドマスターの作品以外にも、名画が沢山ありました。アムステルダム国立美術館は、まちがいなく世界最高の美術館の一つです。ぜひ自分の足で訪れて、レンブラントとフェルメールのすばらしい名画を鑑賞してください。
参考書籍・資料
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